Sunday, April 13, 2008

30秒→15秒→?

30秒CMが主流だった70~80年代から、今は15秒CMが主流。

CMの枠が短くなることで単価は安くなり、相対的にロングテールな方向へクライアントベースが広がったのだが、30秒のCMが15秒になることで伝達できる情報の量や質にも変化を伴っただろう。

平たく言えば、15秒になることで情報がより表層的になった、ということになるのだろう。

ソロモンアッシュが1950年代に行った実験では、人は情報の量よりもシェアに態度を左右されるという結果が出ている。5人しか友達の居ない人の5人が自民党がいい、といった場合と、20人友達が居る人の友達の8人が自民党が言いといって、残りの12人が民主党がいい、といった場合を想定すれば皮膚感覚でわからない議論ではない。

そして情報の総量に占める広告情報のシェアが下がるのであれば、広告の態度変容させるパワーはどんどん減るのではないか、というのが二年前にThink!に掲載した論文の趣旨だが、もしそういった流れが現実化していくのであればテレビCMが15秒であり続ける理由も、あまり無いような気がする。

YouTubeを見てもらえればわかるのだが、15秒CMと30秒CMではまったく詰め込める情報量が違う。30秒というのは、作る人が作れば一種の映画になりうる、ギリギリの長さだと思う。例えば1980年代に流れたサントリーローヤルのCM。これなどは喚起力が映画並みにあるのだが、15秒でそういう、茂木健一郎さんが言うところのクオリアを生み出すことは殆ど不可能だ。

広告にクオリアを生み出す能力がそもそも必要ない、という時代。そもそも記憶が外部化して、モノを買う段階になって初めてネット上の情報を参照して態度を形成する、ということになるのであればテレビCMのような絨毯爆撃的なメディアには、態度変容よりも「告知」の役割だけを期待するようになる。そうなると15秒というのはいかにも過剰スペックである可能性が出てくる。

つまり、告知だけなら5秒で十分という考え方だ。
5秒の告知スポットで名前だけは繰り返しオンエアし、実際に購入の段階になった人に「思い出してもらう」(態度形成は狙わない)ことで、ネットでの検索活動を誘発し、後の態度形成はネット情報+店頭での比較で行ってもらう、という流れ。

いまテレビ局はスポットの落ち込みが激しくて右往左往しているので、枠を小型化することで更にロングテール側にクライアントベースを広げる、という点でもなかなか有意義な打ち手ではないでしょうか。

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