2008年3月31日
恐らく、多くのマスコミ関係者がなんとなく気付きながらも、認めたくないと思っている昨今判明した事実、というか現象として「シロウトが作ったものでも大衆の注目を集めうる」ということが挙げられると思う。三菱総研が先日行った調査では10代の動画視聴時間に占めるテレビ映像のシェアが60%を切ったそうだ。残りの時間はもちろんDVD等もあるがネットの動画サイトの視聴時間が大勢を占めるという。
ここ数年の間にだんだんとこういう状況になってきたので今更ながらに驚く人は居ないが、改めて考えると信じられないことが起き始めている、という気持ちを禁じえない。マスコミ関係者は自分たちが作る映像や印刷物が、どれほどまでに細部に気を配って拘って制作されているかをよく知っている分、シロウトが暇つぶし半分に作ったものが人の関心を引き付けることなんてないと思っていたし、もっと言ってしまえばあってはならない、とも思っているだろう。
ここでキーになってくるのはデバイスの進化とインターネットの普及ではないだろうか。デバイスの進化はアマチュアとプロの差異を減少させて消費者にクリエイションの楽しみを浸透させた。そしてネットは、平均点が低いコンテンツでも沢山集めて皆で人気投票やると、その中からプロ顔負けの作品が表出してくるという一種の市場原理を成立させる。
これは中長期的にコンテンツを生み出していく社会の底力にどう作用するのだろうか?中途半端で大衆ウケするようなコンテンツが、消費者サイドで作られるようになるとプロにはプロならではのものが求められるようになるのかも知れない。いずれにせよ重要なのは経済システムとして全体系を考えた場合、社会がコンテンツに払えるお金には限りがある以上、視聴するものが変われば、その分配率も変わって今まで高収益を得ていたプレイヤーに価値が分配されなくなる恐れがあるということだ。
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