Monday, April 14, 2008

希少なのは消費者の時間

産業革命以来の歴史を見てみると常に世の中で希少なものを握っている人に富が集中していたことがわかる。

ボトルネックがどんどんバリューチェーンを移動していく。

蒸気機関はもともと石炭を掘り出す坑道から地下水をくみ出すための動力だった。これを紡績に使ったら今度は糸が足りなくなり、糸の生産に動力を使ったら今度は販売ネットワークが足りなくなったから蒸気機関車で国中に布を運搬するようになった。

どこかの生産量が爆発的に増えると、ネットワークの中のどこかに溢路が発生してそのボトルネックを解消した会社は人に富が入り込む。

古典派経済学では労働は過剰で資本は希少だった。だから資本化がますます富むという循環が出来たわけだがムーアの法則が成り立つ世の中では希少なのは消費者の時間ということになる。

ムーアの法則による1960年から集積回路の価格は一億分の一になった。これは、1960年当時100億円かかっていた工場が100円で出来ることになり、工場を作って労働者を集めるよりも、労働者一人ひとりに工場を作ってあげる方が、移動コストや時間コストを考えるととく、ということになる。

資本がほとんどタダ、ということになると人の時間がもっとも重要なボトルネックにある。なぜなら人の時間は一日24時間以上、絶対に増やせないからだ。こうなるとこの時間を節約してくれるプレイヤーに富が集まるということになる。

グーグルはまさにそれである。グーグルは「情報を整理する」という機能を提供しているが、本質的な価値は消費者の時間を売っている、ということなのだ。

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