Wednesday, August 15, 2007

読書日記:組織変革のビジョン 金井壽宏

組織変革のビジョンを読了

アマゾンのレビューで高評価だったので読んでみたが面白かった。
金井先生は学者なので通常のビジネスマンや経営者とは切り込む角度が違う。

ポイントは、

1:何かを新たに始める、ということは同時に終わらせる、ということでもある
=ウィリアム・ブリッジスは臨床家として、一見すると開始に見える問題というのは、実はきちんと終焉できていないというのが問題だと指摘している
=変化には「終焉」「中立」「開始」の3ステップが必要である
=失恋した後ですぐに別の人と付き合い始めたがうまくいかない、というのはこの問題である
=AT&T分割の際、社長は新しいAT&Tをアピールしたがなかなか変わらなかったのは、多くの人にとって「以前のAT&T」が終焉していなかった・・・昔は良かった、またあの感じに戻りたい、という気持ちにケリをつけられなかった、というの理由である

2:例え優秀な人であっても、複数集まると一人で行う判断より、かえって品質の低い意思決定をしてしまうことがある・・・これを集団浅慮という
=自集団への過剰な自信
=集団以外へ耳を貸さない閉鎖性
=同調への圧力

3:集団浅慮は凝集性の高い集団で発生し易い・・要するに結束力の強い集団だと過ちを犯し易い
=ちなみにスタンリー・シーショアは集団の凝集性/結束力と集団のパフォーマンスには相関がないことを証明している
=カギは集団の規範にある・・・手抜きが規範になると結束力の強さとパフォーマンスが逆相関になる・・・一種の談合
=つまり頑張る/成果を追及するという集団規範とセットになって初めて凝集性/団結力はパフォーマンスに結びつく

4:何度やっても失敗、というのを繰り返すと人は「学習性無気力」に陥る
=M.セリグマンの理論

5:危機感をあおれば組織が変わる、変革がウマく行く、というものでもない
=人は緊張のレベルが上がるとパフォーマンスをが上がるが、緊張のレベルがある一定量を超えるとパフォーマンスは低下してしまう
=脅威が大きくなりすぎると硬直してしまう・・これを脅威→硬直性仮説という
=これをヤーキーズ=ドットソンの法則という

6:地図・チャートがある、というだけで人は勇気付けられる
=ハンガリー軍の雪中演習の際の遭難で用いられたのは実際にはピレネーの地図だった
=地図がある、という希望そのものが前向きの努力と忍耐を生んだと考えられる

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